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DXを推進するためにかかる費用を少しでも抑えたい、そんな時に利用したいのが補助金や助成金の制度です。でも、この二つはどう違うのかわかりますか?

補助金は「用途」の意義を問われる

補助金と助成金、いずれも事業支援のために国や自治体から支給される返済義務のないお金です。では、違いは何なのでしょうか?

もちろん管轄・財源・受給の難易度・金額・募集期間はそれぞれ異なりますが、大きな意味では「用途」の意義を問われるかどうかが違います。補助金は事業計画書を作成して「どのように役立つのか」など必要性を明確にしなくては審査で承認されません。一方、助成金は資格要件さえ満たしていれば受給できます。

上手く活用すれば中小企業の強い味方になる

補助金や助成金は上手く活用することで中小企業の強い味方になる制度です。しかし、実際のところ、このような国や自治体からもらえる資金の存在に気づいていない中小企業が全体の半分にのぼるという調査結果もあります。

中小企業庁の調査によると「国・都道府県・市町村などが交付する補助金・助成金」の認知率は51.5%、理解率は16.8%、利用率はわずか6%という結果が報告されています。(2019年10月)

認知度が低いということを逆手にとれば、上手く活用することで他の企業と差別化できるチャンスになるとも考えられます。そこで、中小企業の経営に関わる人は補助金と助成金の種類や注意点、基本的な内容や具体的な活用方法を知って是非活用するべきでしょう。

補助金と助成金は、企業の創業段階や目的に合わせてさまざまな種類が用意されています。例えば、創業時にもらえるもの、新規の研究開発を支援してくれるもの、社員のキャリアアップを支援してくれるものなど、補助金だけでも細かく分けると3000種類以上にもなるといいます。

もちろん、1つの機関がこれらを一括で管理しているわけではなく、各省庁や地方自治体、財団がそれぞれ独自に提供しています。この中から自分の会社に合ったものを探すのは至難の業で、利用が増えない大きな要因にもなっていると考えられます。上手く活用するためには、まず基本的なことを知って、探し方のコツも押さえておくことが必要になります。

似ているけど違う?

そもそも補助金や助成金とは何でしょうか。はじめに国や自治体からもらえる資金だと紹介しましたが、本来の意味をふまえて表現すると“返済不要の公的な支援金”と言えます。国や地方自治体がそれぞれの施策を進めるために、その目的に合った会社や事業主の取り組みに対し、返済不要で資金を提供してくれるものなのです。

では、この二つはどう区別されるのでしょうか。実は資金の出どころに違いがあります。補助金は主に起業促進や産業振興などを目的とした“経産省系の特徴を持つ資金”で、助成金は主に雇用促進や能力向上などを目的とした“厚労省系の特徴を持つ資金”です。

 そして、補助金の方が採択のハードルが圧倒的に高いこと。助成金の審査はあくまで形式的で、一定の要件さえ満たせばほぼ必ず採択されるといえます。これに対して補助金は、予算や採択件数に限りがあるため、申し込み件数が増えるほど倍率が上がり、厳しい審査のもと事業計画が優秀だと判定されなければもらえないのです。

公募期間も同様で、助成金は基本的には通年募集していますが、補助金は年1回、1~4週間程度となっており、例年の傾向から公募時期を見計らって事業計画を練り、スピーディーに申請する必要があります。補助金は使い道が事業経営に関わる分、支援額も数十万~数百万と大きいのですが、それだけ入念な準備が必要になってくるというわけです。

実は補助金と助成金の区別は、法律で明確な定義がなされているわけではありません。経済産業省が「補助金」、厚生労働省が「助成金」と呼んでいるために発生した、いわば慣習的なもののようです。例えば東京都では補助金のような性質を持つ資金であっても、全て「助成金」と呼んで提供しているなど、地方自治体によって使い分けが異なるケースもあるので留意する必要があります。

資金を提供する目的を知ろう

国や自治体はなぜ資金を提供するのか、資金を活用するならその目的をしっかり理解しておくことが大切です。

例えば、国や自治体には「温暖化ガスを削減する」「高齢者や障害者の雇用を促進する」といった政策目標があります。これを行政の努力だけで実現するのは困難で、国内の企業も巻き込んで取り組まなければ温暖化ガス削減や雇用システムの整備を実現することはできません。そこで、政策に関連する事業を援助することで実現を図ろうとすることが、資金を提供する側となる国や自治体の狙いなのです。

したがって、助成金よりハードルが高い補助金を申請するには、その資金を使った事業でいかに政策の実効に貢献できるのかを事業計画で示す必要があるのです。たとえ事業計画が優秀だったとしても、その企業に完遂する力があるのか疑わしいとなると当然採択される可能性は下がります。ですから、事業計画を実現する可能性を示すことも重要になります。

補助金と助成金はいずれも返済義務も担保も発生しませんが、次の点には注意する必要があります。

1. もらうには事前に申請が必要であること
2. 「後払い制」で資金がもらえるタイミングは事業完了後となること
3. 補助金で補助してもらえるのは全額ではなく一部であること
 (助成金は「経費助成」部分は一部補助)

中小企業庁の調査によると、補助金も助成金も認知しながら利用しなかった理由で、2番目に多かったのが「手続きが煩雑だったため」(14.7%)(1番目は「単なる情報収集のため」(58.2%))ということからわかるように、手続きの煩雑さが障壁となっているようです。

制度ごとに募集要件が異なるため、それぞれの背景まで理解して申請書類を作成するのはなかなか面倒で大変な作業ではありますが、申請できればそれ以降は注意するべきこともそれほど多くないので、申請の手続きさえしっかり進めればよいということになります。

また、後払いであることから、あらかじめある程度の資金を準備しなくてはなりません。補助金の審査に通ると金融機関からの融資を受けやすくなることもあり、上手く活用しながら資金を捻出するのがおすすめです。

中小企業もIT導入を実現するチャンス

補助金や助成金は、働き方改革や軽減税率などの政策に応じて新しいものがどんどん登場しています。特に注目なのは2017年に始まった「IT導入補助金」で、業務効率化を目的としてITツールを導入する際にかかる費用を、経済産業省が一部支援してくれる制度です。働き方改革関連法で業務時間の短縮を迫られている中小企業にとって、社内のIT革命を低コストで実現できるチャンスとなるでしょう。

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補助金や助成金が支給される本来の目的を知れば、資金を投じる目標も明確になります。
こうした制度を利用できるこの機会に、会社の未来を見据えたITによる社内改革について考えてみませんか?