Windowsとは?
Windowsはマイクロソフト社が開発したOS(Operating System)です。OSとはコンピューターを動かすために必要なソフトウェアで、コンピューター全体を管理、制御する役割を持っています。
Windowsは、1985年にWindows1.0が販売されて以来、多くの機能追加や改善されるたびにいくつものバージョンが発表され、世界のパソコン市場を牽引してきました。アメリカの調査会社によると、OSについてはWindowsが9割を超える圧倒的なシェアを誇っています。macOSは日本でも馴染みはありますが、およそ6%程度で全体の1割に届きません。
2023年6月時点での日本国内におけるWindowsのシェアをバージョン別に見てみると、Windows10が 63.32%で6割を超え、Windows11は 33.95%と3割を超える程度になっています。現在最新のバージョンは Windows11ですが、リリースから2年以上が経っても、導入があまり進んでいない様子が伺えます。
なぜ、Windows10 が使われ続けている?
Windows10からは無償で11にアップグレードできるにもかかわらず、なぜそれほど導入が進んでいないのでしょうか?その背景には以下のような要因があるようです。
① 使っているパソコンのスペックがWindows11に対応しておらずアップグレードできない
② Windows10を使い慣れており、アップグレードする必要性を感じていない
③ 表示画面のデザインや操作性が変わることに抵抗感がある
④ 無償アップグレードの期限が示されておらず、すぐに対応する必要性を感じていない
このような要因から、Windows10を使い続けているユーザーが多いようです。
Windowsのサポートとは?
従来のWindowsでは、幅広いサポートが提供される「メインストリームサポート」が発売から最低5年間、その期限が終了すると、脆弱性の解消や不具合の修正が中心となる「延長サポート」が最低5年間で設定されていました。
Windows10は「Windows as a Service」というコンセプトで提供され、従来のWindowsのサポートとは異なっています。このコンセプトから、一度購入すれば半永久的に無償でサポートしてもらえると受け取られ、「Windows10は最後のWindowsだ」などと言われました。実際には、大型のアップデートとなるバージョンアップが年2回のペースで行われ、各バージョンのサポート期間は基本的に1年半で比較的短期間となっています。このサポート期間内に提供されるアップデートを適用して新しいバージョンに更新することでサポート期間が延長されるため、常に最新のバージョンに更新していれば、無償でサポートを受け続けることができる仕組みになっています。
Windows10のバージョンは、2015年7月29日に正式版(1507)がリリースされて以来、2020年10月の最新版(22H2)までに14のバージョンが公開されています。ここでは代表的なWindows10 Home & Pro のバージョン一覧を掲載します。
Windows10 Home & Pro のバージョン(新しい順)
バージョン | コードネーム | ビルド番号 | リリース日 | サポート終了日 |
---|---|---|---|---|
22H2 | 22H2 | 19045 | 2022年10月18日 | 2025年10月14日 |
21H2 | 21H2 | 19044 | 2021年11月16日 | 2023年6月13日 |
21H1 | 21H1 | 19043 | 2021年5月18日 | 2022年12月13日 |
20H2(2009) | 20H2 | 19042 | 2020年10月20日 | 2022年5月10日 |
2004 | 20H1 | 19041 | 2020年5月27日 | 2021年12月14日 |
1909 | 19H2 | 18363 | 2019年11月12日 | 2021年5月11日 |
1903 | 19H1 | 18362 | 2019年5月21日 | 2020年12月8日 |
1809 | RED STONE 5 | 17763 | 2018年11月13日 | 2020年11月10日* |
1803 | RED STONE 4 | 17134 | 2018年4月30日 | 2019年11月12日 |
1709 | RED STONE 3 | 16299 | 2017年10月17日 | 2019年4月9日 |
1703 | RED STONE 2 | 15063 | 2017年4月5日 | 2018年10月9日 |
1607 | RED STONE 1 | 14393 | 2016年8月2日 | 2018年4月10日 |
1511 | Threshold 2 | 10586 | 2015年11月10日 | 2017年10月10日 |
1507 | Threshold 1 | 10240 | 2015年7月29日 | 2017年5月9日 |
*新型コロナウイルス感染症の拡大により半年間サポートを延長
Windows10のバージョンは、リリースされた年(YY)と月(MM)で表記します。なお、バージョン「20H2」以降は、年と半年(前半の月なら「H1」、後半の月なら「H2」)のパターンに変更されました。また、バージョンとは別に開発時の「コードネーム」と「ビルド(更新)番号」が使用されていましたが、ユーザーの混乱を避けるという理由から、2020年6月よりコードネームはバージョンに統一されています。
Windows10 もすでにサポート終了が決まっている!
マイクロソフト社は 2023年4月27日(米国時間)、2022年10月18日にリリースした「Windows 10 2022 Update」(バージョン「22H2」)がWindows10の最終バージョンになることを明らかにしました。今後、Windows10のアップデートはリリースされないため、一覧にあるように、バージョン「22H2」のサポート終了日である2025年10月14日をもって、Windows10のサポートは全て終了することになります。
マイクロソフト社は、サポート終了日までは毎月セキュリティ更新プログラムを配信するとしていて、Windows10を使用している場合は、更新を受けられるように速やかにバージョン「22H2」にアップデートすることを呼びかけるとともに、Windows11への移行を推奨しています。
※ Windowsのバージョンを確認する方法はこちら ☞ Windowsのバージョンを確認する方法
(参考)Windows11 Home & Pro のバージョン
Windows11のバージョンは1年に1回のペースで新たにリリースされ、サポート期間は2年程度となっています。これまでに3つのバージョンがリリースされ、初期のバージョンは2023年10月10日にサポート終了を迎えています。
バージョン | コードネーム | ビルド番号 | リリース日 | サポート終了日 |
---|---|---|---|---|
23H2 | 23H2(Sun Valley3) | 22631 | 2023年10月31日 | 2025年11月11日 |
22H2 | 22H2(Sun Valley2) | 22621 | 2022年9月20日 | 2024年10月8日 |
21H2 | 21H2(Sun Valley) | 22000 | 2021年10月4日 | 2023年10月10日 |
サポート終了後も使い続けるとどうなる?
実は、サポートが終了しているバージョンでも、パソコンのスペックなどの条件が満たされ稼働さえすれば、引き続き使用できます。では、そのまま使い続けてはダメなのでしょうか?
・セキュリティリスクが高くなる
もしOSに脆弱性があると、セキュリティ対策ソフトを入れていても、コンピュータウイルスなどの攻撃を完全に防ぐことができません。サポート期間中は、脆弱性が新らたに見つかると、対応を施すためのセキュリティ更新プログラムが提供されます。しかし、サポート終了によって提供が受けられなくなると、新たな脆弱性や脅威への対策が遅れ、コンピュータが攻撃やマルウェアに対して脆弱になるリスクが増大します。具体的には、感染したパソコンが操作不能になったり、情報漏洩してしまったり、機密情報を抜き取られて不正行為に悪用されてしまう、などのリスクが想定されます。
このようなトラブルは組織のセキュリティリスクにもつながったり、コンプライアンス義務を果たせなくなるなど、事業への影響が出る可能性があります。また、セキュリティ事故を起こすと、損害賠償や訴訟費用が発生したり、事故の原因を調査して対策を講じるための時間や費用がかかります。また、事故による逸失利益が生じることもあります。
・OSの不具合が解消されなくなる
サポートが終了すると、新たに発見されたOSの不具合や問題に対して修正が行われなくなります。そのまま使い続けていると、不具合によって突然パソコンが動かなくなるなど、正常に動作しなくなる可能性があります。突然パソコンが使えなくなるとデータにアクセスできなくなり、最悪の場合、保存していたデータを全て失ってしまうことになりかねません。また、不具合が放置されることで、システムの安定性や動作に影響を及ぼし、使い勝手や快適性に支障をきたすことがあります。
・周辺機器が動作しなくなる可能性がある
サポートが終了すると、メーカーもそのOSに対応するためのドライバーやサポートを提供しなくなることがあります。それにより、新しい周辺機器などのハードウェアとWindows10との互換性が保証されなくなる可能性があります。その結果、新しい複合機を導入したが正常に動作しない、または全く動作しない!などという問題が発生するかもしれません。
・マイクロソフト社からのサポートが一切受けられなくなる
サポート終了により、マイクロソフト社の公式サポートやカスタマーサービスを受けることができなくなります。OSに関する問題や疑問を解決するための手段が限定されたり、トラブルが発生した際に解決策を探るのが困難になるかもしれません。また、既存の情報やドキュメントも更新が停止されるため、正確な情報を得ることが難しくなる可能性があります。
どう対応すればいい?
このように、サポート終了後も使い続けると様々なリスクが生じるため、対応する必要があります。具体的な対応方法をいくつかご紹介します。
対応方法1:現在使用しているパソコンをWindows11にアップグレードする
Windows10からWindows11へは現在(2023年12月時点)無償でアップグレードできます。マイクロソフト社は、今のところ期限を設けていませんが、いつ無償期間の終了が発表されるかは不透明な状況です。使用するソフトやアプリに特に制限がなければ、今のうちにWindows11へのアップグレードを検討してもよいかもしれません。
アップグレードするには、いくつか注意しておきたいことがあります。
・パソコンが Windows11のシステム要件を満たす必要がある
Windows11には最低限必要なシステム要件があります。パソコンのスペックがその要件をクリアできていない場合や、内部のソフトウェアがWindows11に適合していなければ、正常に動作しない恐れがあります。さらに、アップグレードしてもその後のシステムアップデートが受けられない可能性があります。
プロセッサ | 1 ギガヘルツ (GHz) 以上で 2 コア以上の64 ビット互換プロセッサ または System on a Chip (SoC) |
---|---|
メモリ | 4 ギガバイト (GB) |
ストレージ | 64 GB 以上の記憶装置 |
システム ファームウェア | UEFI、セキュア ブート対応 |
TPM | トラステッド プラットフォーム モジュール (TPM) バージョン 2.0 |
グラフィックス カード | DirectX 12 以上 (WDDM 2.0 ドライバー) に対応 |
ディスプレイ | 対角サイズ 9 インチ以上で 8 ビット カラーの高解像度 (720p) ディスプレイ |
システム要件に出てくる用語をいくつか解説します。
コンピュータの起動時にハードウェアを初期化してオペレーティングシステムを読み込むための基本的なファームウェアの規格。仕様はUEFIフォーラムによって規格化されている。従来のBIOS(Basic Input/Output System)の後継で、BIOSが32ビットアーキテクチャであるのに対して、UEFIは64ビットに対応しており、より高度な機能やセキュリティを提供しながらシステムの起動プロセスを管理できる。
コンピュータが起動する際にOSやファームウェアが改ざんされていないことを確認するセキュリティ機能。この仕組みは、不正な変更やマルウェアの侵入を防ぎ、システムの信頼性を向上させる。
デバイス上で様々なセキュリティ機能を提供するためのモジュールで、暗号化で利用する鍵を安全な場所で管理するための仕組み。例えば、金庫に鍵をかける場合、金庫と鍵を同じ場所に置いておくと開けられてしまう可能性が高くなるが、鍵を金庫とは別の場所(つまりTPM)に保管し、鍵を取り出せる人を厳密に管理することで、金庫の中身を保護できる仕組み。
TPMのバージョンには1.2と2.0が存在し、2.0は機能が大幅に強化され、利用できる暗号化アルゴリズムや鍵を管理する階層が1階層から3階層に分かれるなど、仕様も大きく異なる。古いパソコンは1.2しか対応していないものもあり、Windows11の要件を満たさないなど注意が必要。
システム要件を満たしているかは、マイクロソフト社のPC Health Checkアプリを使用することで確認できるが、アプリ以外の部分を自身で確認する場合は、マザーボードが物理的なTPM 2.0をサポートしているかを確認することが重要。
Windows11へのアップグレードを検討する際は、まずシステム要件を確認し、ハードウェアに互換性があるかを確認することが重要です。こうすることで、アップグレード後もシステムアップデートを受け取り、パソコンのセキュリティを保つことができます。
・アプリや周辺機器が動かなくなる可能性がある
Windows11へアップグレードすることで、Windows10で使用していたアプリケーションや周辺機器が正常に動作しなくなる恐れがあります。ビジネスで使用するのであれば、業務に影響を及ぼす可能性があります。したがって、アップグレードをする前には必要なアプリケーションや周辺機器がWindows11に対応しているかを確認することが重要です。
・使い勝手が大幅に異なる
Windows11は、Windows10と比較してUIが大幅に変更されています。Windows11はスタートメニューの位置が中央に移動し、タスクバーのアイコンも新しいデザインに変更されています。スマホのOSのようなアイコンやスナップ機能など、Windows10から大幅に変更されていることから、ユーザーによっては戸惑いを感じる可能性もあります。
このようなUIの変更はユーザーの使い勝手に影響を与え、場合によっては作業効率が落ちるかもしれません。そこで、Windows11へアップグレードをする際はUIを前もって把握しておき、アップグレード後に影響を最小限にすることが重要です。
ユーザーがパソコンを操作する際に使用するさまざまな機器や入力装置を指す。マウスやキーボード(文字入力)をはじめ、マイクやスピーカー(音声入力)、ディスプレイ(画面表示)などの装置にとどまらず、画面に表示されるデザインやフォントなども含まれる。
特に画面のデザインなどのUIを洗練することにより快適な操作が可能になる一方で、ユーザによっては新しいUIに慣れるまでに時間がかかり、作業効率が落ちる恐れがある。
対応方法2:パソコンを買い替える
使用しているWindows10のパソコンがWindows11のシステム要件を満たしていない、Windows8.1からWindows10へアップグレードして使用しているパソコンなど、導入してからかなりの年数が経っているような場合は、Windows11搭載のパソコンへの買い替えを検討をした方がよさそうです。
対応方法3:パソコンのレンタル・リースを利用する
企業・法人であればパソコンのレンタルやリースを利用する方法もあります。パソコンのレンタル・リースであれば、Windows11を搭載した最新モデルのパソコンでも、月額あたりの固定費を抑えながら導入することが可能になります。また、リース期間が終了する際にWindows11のサポート終了が近づいていれば、新たなパソコンのリース契約に切り替えることで、パソコンにかかる費用をある程度一定に均すことができます。
対応方法4:Chrome OSなど他社のOSに切り替える
これは上級者向けの方法になりますが、Google社が展開する「Chrome OS」を導入する方法もあります。この方法であれば、Windows10のサポート終了とは関係なく、そのまま利用できます。
2023年6月15日に安定版が無料配布が開始された Chrome OS Flexを導入すれば、Windows11のシステム要件を満たさないパソコンであっても、8GB以上の容量を持つUSBメモリさえあれば利用できる可能性があります。最小要件が64ビット互換のデバイスで内部ストレージが16GBとなっているので、Windows10が動作しているパソコンのスペックであれば、その多くが要件をクリアできそうです。念のため、作業を始める前に公式サイトの注意事項やサポート対象のデバイスを確認することをお勧めします。
参考)Chrome OS Flex のシステム要件やインストール方法はこちら ☞ ChromeOS Flex ヘルプ