そもそもLANとは?
LAN(Local Area Networkの略)とは限定したエリアで用いるネットワークのことで、家庭や企業で使用するネットワークなどが該当します。LANによって、プリンターやパソコンなどの複数の機器を接続して使用することが可能になります。
LANには有線と無線があり、有線LANはLANケーブルを使って機器を接続します。機器につないだケーブルを介して通信が行われるため、無線に比べてセキュリティが高いことが特徴です。
イーサネットとは?
有線LANの標準規格として現在採用されている技術がイーサネット(Ethernet)です。
イーサネットで使用するケーブルの種類には、同軸ケーブル、光ファイバーケーブル、ツイステッドペアケーブルの3つがあります。このうちパソコンのネットワークでよく使用されるのが、ツイステッドペアケーブル、通称LANケーブルと呼ばれるものです。
ケーブル内のシールドの有無により、主に2種類あります。
UTPケーブル(Unshielded Twisted Pair cable):2本ずつ組み合わせた銅線を4ペアにしたケーブルです。銅線2本1組にすることによってプラスとマイナスの電圧にそれぞれ変化させることでデータの送受信を行います。CAT6までは、通常UTPケーブルが使用されています。
STPケーブル (Shielded Twist Pair cable):銅線を保護することで、UTPよりもノイズを抑えられて安定性が増しますが、その分価格も高くなります。CAT7以降に使用されています。CAT6でも一部使用しているものがあります。
イーサネットの規格と帯域
同軸ケーブルは、イーサネットの初期に使用されていたもので、10BASE2や10BASE5の規格で使用されました。伝送帯域幅は10Mbpsで、伝送できるデータ量は現在標準的に使用されているものと比較すると非常に少ないものでした。
その後、2000年代になるとUTPケーブルを使った10Gbpsの10GBASE-Tが登場するなどして、一度に伝送できるデータ量が大きく増えました。
現在は、40GBASEや100GBASEといった伝送帯域や通信速度がさらにアップした規格が登場し、有線LANでのデータ伝送の高速化が今後さらに進むことが期待されています。
カテゴリとは?
LANケーブルは、「カテゴリ」と呼ばれる規格に分かれています。カテゴリは大きく7つに分かれていて、このカテゴリの数字が大きいほど通信速度・伝送帯域が上がります。
ただし、データの伝送能力はケーブルの長さによっても変わってきますが、カテゴリ規格では100mで保証される数値になっています。
カテゴリー | 最大通信速度 | 伝送帯域 | イーサネット適合規格 |
---|---|---|---|
CAT 5 | 100M bps | 100 MHz | 10Base-T 100Base-TX |
CAT 5e | 1G bps | 100 MHz | 10Base-T 100Base-TX 1000Base-T |
CAT 6 | 1G bps | 250 MHz | 10Base-T 100Base-TX 1000Base-TX 1000Base-T |
CAT 6A | 10G bps | 500 MHz | 10Base-T 100Base-TX 1000Base-TX 1000Base-T 10GBase-T |
CAT 7 | 10G bps | 600 MHz | 10Base-T 100Base-TX 1000Base-TX 1000Base-T 10GBase-T |
CAT 7A | 10G bps | 1000 MHz | 10Base-T 100Base-TX 1000Base-TX 1000Base-T 10GBase-T |
CAT 8 | 40G bps | 2000 MHz | 10Base-T 100Base-TX 1000Base-TX 1000Base-T 10GBase-T 40GBase-T |
伝送帯域とは、データを伝達するために使われる周波数の幅広さを示す値です。単位として「Hz(ヘルツ)」が用いられます。「帯域幅」「帯域」とも呼ばれます。具体的には、データ伝達のために用いられる波の最小周波数と、最大周波数の差が伝送帯域となります。
「Hz(ヘルツ)」は「1秒あたりの波の数」を表すために用いられる単位です。5Hzは1秒間に5回揺れる波を示します。伝送帯域を1~5Hzと考えた場合、それぞれの帯域の波は違う情報を伝達することが可能です。つまり、伝送帯域の幅が大きいほど単位時間あたりに伝達できる情報量が多いことを意味します。
こうした理由から、伝送帯域の値は「通信速度」と同義として考えられることが少なくありません。「1秒あたりの伝送ビット数」である「bps」と同様に、通信機器や回線の品質を示す指標のひとつとして使われます。
各カテゴリの特徴
CAT 5
数年前まで広く流通していた低速規格で、セール品などの安価な無線LANルーターやハブに同梱されているケースがありますが、現在はほとんど販売されていません。
CAT 5e
最近は超高速な光回線サービスも増えてきましたが、基本的にはCAT5eで十分な速度を得ることができます。コストパフォーマンスに優れ、オフィスでの利用にも十分なカテゴリです。ただし、動画視聴などで通信量が多くなる場合は、通信速度は変わりませんが伝送帯域がより広いCAT6以上にするのがおすすめです。
CAT 6
現在主流のカテゴリーになっています。家庭でも企業でも利用できるLANケーブルです。通信速度はCAT5eと同じですが、伝送帯域は2倍以上でより多くのデータ転送が可能です。インターネットを快適に利用したいと言う場合におすすめです。
CAT 6A
液晶テレビやパソコンで動画コンテンツを楽しみたい、テレビ会議などを利用する、そういう場合には最適なカテゴリです。今後、主流になってくる10Gbpsにも対応できる通信規格なので、これからLANケーブルを購入するという場合はCAT6Aがおすすめです。
CAT 7
速度面もノイズ耐性も高く、負荷が高い業務用サーバーとの接続に最適です。ただし、CAT7ケーブルは一般家庭で扱いやすいUTPケーブルではなく、STPケーブルです。
CAT 7A
現在実用できるLANケーブルとしては最速です。帯域も広くノイズが多い場所で高速に通信したい方にお勧めします。ただし、CAT7と同様、STPケーブルのため機能的にも価格の面でも家庭や一般の企業には不向きです。
CAT8
現在のカテゴリでは最速ですが、40Gbpsで動作させるためにはNICやハブなども対応する必要があり、価格も高く実用的ではないようです。主にデータセンターなどで利用され、一般には不向きです。
カテゴリの見分け方
見分け方1:ケーブルに印字された「カテゴリ名」を確認する
LANケーブルにはカテゴリ名が印字されているものがあります。この場合はケーブルを確認するとすぐに見分けることができます。
見分け方2:ケーブルに印字された「ケーブルの配線規格名」を確認する
もしカテゴリ名が印字されていなくても、ケーブルの配線規格名が印字されている場合があります。
長い文字の羅列の中に下記の配線規格名があれば、カテゴリ基準の参考にはできます。
表記例
カテゴリ | カテゴリ名の表記 | ケーブルの配線規格名 |
---|---|---|
CAT 5 | CAT.5 | ANSI/TIA/EIA-568-B.1 |
CAT 5e | CAT.5e | ANSI/TIA/EIA-568-B.2 |
CAT 6 | CAT.6 | ANSI/TIA/EIA-568-B.2-1 |
CAT 6A | CAT.6A | ANSI/TIA-568-B.2-10 |
CAT 7 | CAT.7 | ISO/IEC 11801 |
CAT 7A | CAT.7A | ISO/IEC 11801(カテゴリ7と同じ) |
CAT 8 | カテゴリ8 | ANSI/TIA-568.C-2-1 |
最適なLANケーブルを選んでパフォーマンスを確保する
LANケーブルはカテゴリによって通信速度や伝送速度が異なるため、使用環境に合ったカテゴリを選ぶことが大切です。
もし、これからLANケーブルを購入する場合は、通常の家庭や会社なら性能と価格の面からみてCAT6で十分と言えます。
しかし、購入してから時間が経つLANケーブルを使い続けている場合、性能を十分に発揮できていないケースも考えられます。
例えば、現在主流になっている1Gbpsの光回線サービスを契約しても、CAT5(速度100Mbps)のケーブルを使い続けているために、光回線自体の速度は1Gbps出ていても、LANケーブルの最大速度が100Mbps(0.1Gbps)であれば、十分なポテンシャルを引き出せません。使っていてパフォーマンスが悪いようであれば、一度LANケーブルを交換してみるのも手かもしれません。
反対に、LANケーブルには上位互換性があるので、CAT5eにしか対応していない機器でもCAT6のLANケーブルが使用できます。
ひとつ留意したいのは、カテゴリの数字の大きさに比例して値段もあがるという点です。どれくらい通信速度が出て欲しいのかなどを確認して、用途に適したカテゴリを選ぶようにしましょう。