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ワイヤレスイヤホンが普及したことで、利用者が増えているBluetooth。出力や通信距離によってクラスが分けられていることをご存じでしょうか。

Bluetoothとは?

Bluetoothは、ワイヤレスで通信を可能にする近距離専用の通信規格で、PCやスマートフォンとイヤホンやIoT機器を電波で接続することができます。最近では、スピーカーやゲーム機でも採用されていて、ワイヤレスによる近距離通信の標準規格になっています。

近距離での無線通信には、Bluetoothの他にも、IrDA(赤外線通信)や、高速通信が可能なWi-Fiなどがよく知られています。IrDAは、テレビリモコンやガラケーなどに搭載されていて一時期はスマートフォンにも搭載されていました。Wi-Fiは主にスマートフォンやタブレットに搭載されていて非常に多くの人が利用しています。

そうした中で、ワイヤレスイヤホンやスマートウォッチなど、なぜこれほどBluetoothが採用されるのでしょうか。それは他の規格に比べて以下ような特性があるからだと言えます。

  • 超低消費電力
  • 適切な通信速度
  • 通信の安定性
  • 高いセキュリティー

このように、Bluetoothは消費電力が非常に少なく、カバンや服などの遮蔽物があっても利用できるため、スマートフォンやイヤホン、IoTなどの近距離で使用する機器に適している無線通信規格なのです。

Bluetoothには、バージョンによる違いと、クラス分けによる違いがあるので、その違いを理解したうえで製品を選べば、快適に利用することができます。

Bluetoothのバージョンについて

Bluetoothは1999年のバージョン1.0誕生以降、データの量や消費電力の改善がされてきました。

大きく変化があったのはバージョン4.0からで、消費電力の改善を重視した「LE」が登場し、バージョン3.0以前の規格とは互換性がなくなりました。このことから、Bluetoothは、互換性がなく用途が異なる2つの規格が並列しています。

  • バージョン3.0までの「クラシック」・・・ 通信速度重視の規格
  • バージョン4.0以降の「LE(Low Energy)」・・・ 低消費電力重視の規格

「クラシック」と「LE」では直接的な互換性がないことから、同じBluetoothとはいえ別物になっています。

Bluetooth 3.0以前の「クラシック」

バージョン3.0以前の規格は、モバイルデバイスよりデスクトップ周りで使われることが多かったため、消費電力より通信速度が重視され、バージョン3.0で24Mbpsまで通信速度を向上しています。

バージョン3.0と聞くと「LE」の最新バージョン5.2に比べて過去の規格と思われがちですが、現在でもマウスやキーボードなどにも使われている現役の規格です。

Bluetooth 4.0以降は「LE」

2007年にiPhoneが発売されて世界中でスマートフォンが急速に普及しました。しかし、モバイルに最適化されたバージョン4.0の登場は遅れること2年後の2009年でした。

バージョン4.0以降は、「LE」という名前の通り低消費電力に重点を置いた規格になり、現在では殆どのスマートフォンに搭載されています。

バージョン4.1はインターネット接続、バージョン4.2ではデータレート(一定の時間で伝えられるデータ量を示す数値)が2.5倍に、バージョン5.0は、データレートがさらに2倍に向上したことに加え、通信の範囲や容量が大幅に拡大しました。バージョン5.1では方向探知機能が追加されることでイヤホンなどが紛失してしまっても見つけるのに役立つようになりました。

ワイヤレスイヤホンの普及もあり「クラシック」より早いペースで進化していて、より使いやすい仕様になっています。

「LE」規格であれば下位互換になっているため、機能面では差があるかもしれませんが、接続に支障が出ることはほとんどありません。

Bluetoothのクラスとは?

Bluetoothは、電波の最大出力や到達距離によって通信出来る距離をクラスという規格で分けています。電波が届くギリギリの距離、つまり最大通信距離によって3つのクラスに分けられています。

Bluetoothを使用する時には、同じクラスでも出力の違いで通信距離が異なるため、確認が必要です。

以下の表はクラス分けと、それぞれの最大出力と通信最大距離の関係を表しています。

クラスの種類最大出力通信最大距離
クラス1100mW約100m
クラス1.510mW数10m
クラス22.5mW約10m
クラス31mW約1m

この表から、通信距離は最小と最大で100倍ほどの差があることがわかります。

Bluetoothのクラスの種類による特徴

「クラス1」は通信距離重視

クラスの中で最大出力が最強で、通信最大距離が一番大きいものです。主にマイクやスピーカーなどの屋外で広い場面で使う商品に使われています。

最近では「クラス1」対応のスマートフォンやイヤホンなどの商品も少しずつ増えてきていますが、まだまだ対応製品は少なく、多くの場合「クラス2」が採用されています。

また、「クラス1」と「クラス2」の中間で最大出力10mW、最小出力0.01mW、最大通信距離が数10mの出力の製品を「クラス1.5」と称する場合もあります。

「クラス2」はバランスに優れている

一番採用されることが多いクラスです。通信最大距離が10mとスマートフォンやイヤホンにちょうどよい距離で、ほとんどのスマートフォンは「クラス2」を採用しています。

その他にも、ヘッドホン、イヤホン、キーボード、マウス、コントローラー、スマートウォッチなど隣接した場所で使う機器に、出力と通信距離のバランスが適しています。

「クラス3」は消費電力重視

クラスの中では一番最弱で、採用されている商品も非常に少ないようです。

Bluetoothのクラスで重要なのは最大出力

一見すると「クラス1」が一番最大通信距離が長く、逆に「クラス3」が最大通信距離が一番短い、などと最大通信距離に注目しがちですが、重要なのは実は最大出力です。

「クラス1」の最大出力が100mWだからと言って必ず100mWにしないといけないわけではありません。実際に「クラス1」でも10mWの物もあり、2.5mW以上で100mW以下の出力範囲内であれば「クラス1」に分類されます。

また、Bluetoothは 2.4GHz(Wi-Fiなどで使用される無線電波の周波数の帯域)を使うので、LTEのような免許は必要ないものの、電波法で利用について以下のように定められています。

  • 小電力データ通信システムの無線局に区分けする
  • 10mWが法的に出せる最大出力(ただし、技適を通した場合)

つまり国内では「クラス1」でも10mWが限界のため、最大値の1/10が最大出力です。そのため、「クラス1」対応だからといって「100mの距離に対応している」とはならないので、注意が必要です。

LTEとは?

Long Term Evolution の略で「長期的な進化」を意味します。携帯電話通信規格のひとつで、第3世代携帯の通信規格(3G)をさらに高速化させたものです。つまり、3Gを「長期的に進化」させ、次世代の4Gへのスムーズな移行を目指すものだったため、一般的に「3.9G」と呼ばれていました。現在は4Gのさらに後継規格の5Gまで登場しています。

無線免許について

無線局の定義は電波法で定められており、免許が必要なものと不要なものがあります。無線局と聞くと、放送局のような大きな設備と建物を想像するかもしれません。もちろん、テレビやラジオの放送局のような、強い電波を送信する無線局は免許が必要です。ただし、テレビやラジオは放送局からの片方向通信であり、視聴者である受信者は免許をもつ必要はありません。それに対して、個人宅でアマチュア無線をやる場合など、部屋の一角といったどんなに小規模なスペースでも、そこは無線局になるため、免許が必要になります。
一方で、免許不要の無線局は身近なところにたくさんあります。例えば、無線LANや自動車のキーレスエントリ、Sub-GHz無線やBluetoothなどが該当します。それらは電波の弱い無線局で、免許は不要となっています。

技適について

技適は技術基準が守られていることを簡易な方法(マークの有無)で確認するための制度で、「電気通信事業法に基づく、技術基準適合認定」と「電波法に基づく技術基準適合証明」の2種があります。技適マークのない海外製スマートフォンやBluetoothイヤフォンなどを日本で使うと電波法違反になります。
無線局もしくは無線機器は、許可されている周波数や出力以外の電波を出すことがないよう、検査に合格し無線局免許を受ける必要があり、携帯電話も例外ではありません。しかし、既に1億6000万台を超える携帯電話全てを検査して免許を交付するのは現実的でないため、技適マークを取得すれば「キャリアが包括的に無線局免許を取得」(電波法第27条の2)でき、国内での利用が可能になります。
このように法令で厳しく禁止しているのは、許可されていない周波数の電波を発信すると他の電波と混信して通信に影響を及ぼす可能性があるためで、電波法第110条では、不法無線局(無線機器)を使った場合は一年以下の懲役または100万円以下の罰金に処する場合があるとしています。

Bluetoothのクラスを確認する方法は?

Bluetoothのクラスを確認する方法は商品のパッケージ裏の記載や企業のホームページで確認が可能です。両方ともBluetoothの機能の覧に出力と記載してある部分があるので、そこにクラスの種類の記載がされています。

通信距離のトラブルを事前に回避するには、購入する前にBluetoothのクラスを確認しておくことがポイントです。また、パッケージの裏やメーカーホームページではBluetoothの対応バージョンやプロファイルも記載しているのため、あわせて確認しておくことも大切です。

Bluetoothの違うクラス同士を使う場合は?

Bluetoothの違うクラス同士を使う場合は、最大通信距離が短い方に合わせて接続されます。

例えば、最大通信距離100mの「クラス1」対応のイヤホンと、最大通信距離10mの「クラス2」対応のスマートフォンを繋げた場合は、「クラス2」の10mの距離までになります。互換性があると言うよりも、物理的に通信できなくなる距離になれば自然に途切れることになります。

スマートフォンは基本的に「クラス2」を採用しているので、それほど気にする必要はありませんが、動き回りながらイヤホンで聞きたい場合はスマートフォンもイヤホンも「クラス1」で統一して使うことがおすすめです。

「クラス1」で統一すれば、すくなくとも国内では10mwの出力を出せるため、比較的途切れにくくすることができます。

Bluetoothの通信距離の問題を解決する方法は?

使用しているBluetoothの「クラス2」で、最大距離が10mのはずなのに半分の5mくらいで通信が切れてしまうということがあります。

そのような時は、以下ような方法で通信距離を伸ばすことが可能です。

① Bluetoothクラス1の製品で統一する

選択肢や実質的なコストは増えますが、そもそも「クラス1」の製品で統一することで最大10mWの出力による通信ができます。

パソコンの場合は「クラス1」のモジュールを付ける事で「クラス1」対応にして通信距離を伸ばす事が可能です。

スマートフォンなどの場合は、基本的に「クラス1」を採用しているので、接続する側のイヤホンも「クラス1」の物を選ぶ事で「クラス1」の距離の恩恵を得ることができます。

② Bluetoothに干渉する障害物の排除

Bluetoothは 2.4Ghz の帯域を利用して通信しています。同じ 2.4Ghzの帯域を使う電子機器に、電子レンジやWi-Fiがあり、それらの近くで使うと干渉して通信が乱れたり途切れたりすることがあります

この場合は、干渉していると思われる電子機器か、利用しているデバイスのいずれかを移動させて使いましょう。特に電子レンジはかなり電波を発し、Bluetoothに限らずWi-Fiにも影響が強く出ることが多いため、できる限り近い場所で使わないようにすれば改善できます。

③ Bluetoothを使用する場所を変える

障害物の中には壁など動かせない物もあります。木材の壁なら遮断率は比較的低いですが、コンクリートの壁は電波を遮ってしまうため、影響は大きくなります。

コンクリートは遮断率が高いのでなかなか改善は難しいですが、Bluetoothを使用する場所を変える事で通信距離の問題を解決出来る事もあります。

Bluetoothを遮断する障害物がない場所を選び、②の解決方法と組み合わせることでより効果を上げることが可能です。

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Bluetoothのクラスによる違いがあることは、おわかりいただけましたか?メーカー側のアンテナのノウハウによりかなり安定性に差がでるため、いろいろな情報を事前に確かめてから購入するのがポイントです。

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