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スマートフォンを使っているとき「ストレージの空き領域が不足しています」という表示が出て、驚いたことはありませんか?
この「ストレージ」が、データを格納するメディアのことだということはご存じかもしれません。また、データを記憶するものとして「メモリ」もよく耳にします。しかし、ストレージとメモリとの違いはわかりづらいかもしれません。ストレージとはどういうもので、メモリとはどう違うのでしょうか。

ストレージもメモリも記憶装置

ストレージもメモリもいわゆる「記憶装置」で、コンピューターにおいてプログラムやデータを記憶する装置のことです。

記憶装置は主に、コンピューターのCPU(中央演算処理装置)がさまざまな制御やデータ処理を行うとき、演算を実行するために直接アクセスする「主記憶装置」と、CPUが処理をするために取り出して使用するプログラムやデータなどを格納する「補助記憶装置(外部記憶装置)」の2つに分けられます。

では、ストレージとメモリはどちらになるのでしょうか?

メモリは主に「主記憶装置」を指す

通常メモリとは、CPUが直接アクセスする主記憶装置を指します。高速な処理を実現するため、電気伝導性が極めて高い半導体集積回路(IC)を使用しているところから、「半導体メモリ」または単に「メモリ」と呼ばれます。

メモリは、高速な処理を可能にしますが、コストが高いことや設置要件の制約からわずかな容量しか搭載できません。また、一般的に半導体メモリは揮発性(通電しないとデータが失われる)のため、コンピューターの電源を切ればデータは消えてしまい、データの長期保存はできません。

フラッシュメモリは「外部記憶装置」として使われる

このように半導体メモリは揮発性のものが多いですが、なかには不揮発性のものもあります。

例えば「フラッシュメモリ」は不揮発性で、主記憶装置ではなく外部記憶装置として使われています。近年、汎用フラッシュメモリのSSDは容量が向上しており、パソコンに標準搭載されるようになってきています。

一般的にストレージは「補助記憶装置」を指す

主記憶装置として使われるメモリは揮発性で、通電しなければデータが失われます。それに対して、ストレージは通電しなくてもデータが保持される不揮発性の記憶装置だと言うことができます。そのためストレージはデータの長期保存を目的として、コンピューターシステムの補助記憶装置(外部記憶装置)として使用されます。また、揮発性のメモリに比べ膨大な容量のデータを保持できますが、処理速度は劣ります。

ストレージの種類

ストレージのにはいくつかの種類があり、端末に内蔵するストレージのほか、携帯可能な外付け式もあります。メモリとして紹介したフラッシュメモリも外部記憶装置として使用することから、ストレージに分類されます。

  • フラッシュメモリ(SSD、USBメモリ、SDカードなど)
  • 光学ディスク(CD、DVD、ブルーレイディスクなど)
  • 磁気ディスク(ハードディスク(HDD)など)
  • 磁気テープ

ストレージは種類によって、読み出し速度や処理速度、容量、価格が変わります。容量に対する価格の関係は、上に挙げたストレージでは、フラッシュメモリが一番高く、下になるストレージほど順に安価になり、磁気テープが一番安くなります。

主なストレージの比較表

容量容量あたりのコスト読み出し速度省電力サイズ/重量耐衝撃性
HDD大きい(1TB以上が主流)低いやや速い非常に低い大きい/重い低い
SSD小さい
最近大容量化が進む(4GB~1TB程度)
高いが低下傾向高速非常に高い小型/軽量非常に高い
磁気テープ大きい非常に低い遅い低い小型/やや重い高い
光ディスクやや多い低いやや速い低い小型/軽量非常に低い
USB小さいやや高い高速高い非常に小型/非常に軽量高い

ストレージの形態

ストレージは設置する場所に応じて、次の3つに分類されます。

  • 内部ストレージ
  • 外部ストレージ
  • オンラインストレージ

内部ストレージ

内部ストレージとは、コンピューターなどの端末本体に内蔵される大容量の記憶装置のことを指します。特にスマートフォンやタブレットなどの小型携帯端末では「内部ストレージ」の呼称がよく使われています。パソコンにおいては、内蔵 HDD や内蔵 SSD などでマザーボード(CPU やメモリなどが取り付けられた基盤のこと)に直接接続したストレージにあたります。

既に取り付けられている内部ストレージは、大容量のストレージへの交換や、増設、同種のストレージとの交換もできます。ただし、専門的な技術が必要になったり、ベンダーのサポート対象外になることもあるため、既存の内部ストレージの取り外しは慎重に行った方がよいでしょう。

外部ストレージ

外部ストレージとは、パソコンなどの端末本体に端子や有線で接続して使うストレージのことです。USBメモリやSDカードなど、携帯するのに適した超小型のストレージのほか、大容量データの保存やバックアップを目的とした外付け HDD や SSD があります。内蔵するタイプのストレージとは異なり、別の端末に接続することでデータの閲覧や情報処理を行います。

オンラインストレージ

ストレージは端末に内蔵したり外付けするなど物理的に設置するだけでなく、クラウド上に設置することもできます。こうしたストレージはオンラインストレージと呼ばれています。

オンラインストレージはインターネット環境があれば、どこからでも自由に利用できるメリットがあります。有料と無料のサービスがあり、データの保管スペースが規定の容量を上限にユーザーに貸し出されます。

さまざまなサービス形態があり、ユーザー端末のストレージ容量を拡張する「クラウドストレージ」や、組織やグループでの利用を目的とした「ファイル共有サービス」、また大容量ファイルの送受信を目的とした「ファイル転送サービス」があります。

内部ストレージ SSDとHDDの違いは?

ストレージのなかでも、内蔵ストレージとしてよく使われているHDDとSSDは、どう違うのでしょうか?

HDDとは

HDDは、パソコンやサーバーの主要な外部記憶装置(ストレージ)として使われている大容量の磁気ディスクです。HDDの主な構成は磁気ディスク(通常3.5インチ[約9cm])と読み取りヘッド、回転用モーターです。そのためSSDよりも大きく、パソコン本体の中である程度のスペースを必要とします。また、データ読み込み時のモーターによる回転動作や、ヘッドで読み取りを行なうため、振動や駆動音が発生し、衝撃に弱いという欠点があります。

しかし、HDD1台あたりのデータ容量は、SSDをはじめ他のストレージ製品に比べて大きいという利点があります。さらにメモリやSSDと比較して、データ容量あたりのコストが安いのもメリットです。

SSDとは

SSDは半導体メモリの一種で、不揮発性のフラッシュメモリを使用した記憶装置です。従来型のHDDに代わるストレージとして普及が進んでおり、データ容量が1TB以上のSSDも多く市販されるようになっています。

半導体メモリであるSSDは、電気的な高速処理が可能です。しかも消費電力が少なく、装置自体も軽量で薄型なため、小型化できるのがメリットです。

ただし、SSDのデータ容量あたりのコストは磁気ディスクに比べると高い傾向にあります。また、フラッシュメモリは書き換えによる劣化が早く、磁気ディスクに比べると寿命が短いといわれています。SSDには書き換えによる劣化を防止する制御システムが搭載されていますが、データ書き換え可能な回数はHDDのような磁気ディスクと比較すると少なくなります。

ストレージの特徴を活かして適切なデータ管理を

ストレージは、コストよりも用途によって選ぶことが大切です。法定帳票や契約書類など、使用頻度は低いものの長期間の保存が必要なデータであれば、処理速度でなく耐久性があり、長期間の保管でも劣化が起こりにくいストレージを選ぶのがおすすめです。

このように、ストレージの種類や特徴を理解して、目的や用途に合ったストレージを選定することによって、適切に安全なデータ管理ができる環境を整えましょう。

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